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2009 年度 実績報告書

脳の発達・性分化に及ぼす揮発性有機化合物の影響と作用機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19681006
研究機関埼玉大学

研究代表者

塚原 伸治  埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (90318824)

キーワード揮発性有機化合物 / トルエン / 脳の性分化 / テストステロン / アポトーシス / 性的二型核
研究概要

近年、胎児や小児に対する環境リスクの増大が懸念され、環境中の化学物質に対する子供の健康影響について関心が払われている。発達途上にある胎児や小児の脳は性的に分化する。発達期の精巣から分泌されたテストステロンの働きは脳の性分化にとって重要である。成人男性や成熟雄ラットの血中テストステロン濃度はトルエン曝露により低下することが報告されている。これまでの研究から、胎生後期の雄ラットの血中テストステロン濃度が妊娠ラットのトルエンの吸入曝露によって低下し、この濃度低下は精巣のテストステロン産生に関与する酵素である3b-HSDの発現量の減少が一原因であることを示した。性分化した脳には、構造の性差がみとめられる部位(性的二型核)が存在する。ラットの性的二型核の一つであるSDN-POAの体積とニューロン数は雄において雌よりも優位である。SDN-POAの構造の性差形成のメカニズムの全貌は未解明であるが、新生仔期の雌ラットのSDN-POAではアポトーシスによって死滅する細胞数は雄よりも多く、このアポトーシスの性差がSDN-POAの性差形成に関与すると考えられている。SDN-POAの新生仔期のアポトーシスに対する周生期トルエン曝露の影響を検討した結果、アポトーシス細胞はトルエン曝露によって増加することが分かった。さらに、周生期にトルエンを曝露したラットの成熟期におけるSDN-POAの体積を計測したところ、トルエンを曝露した雄ラットのSDN-POAの体積は正常雄よりも縮小していることが確認された。以上のことから、脳の性分化の臨界期である周生期に曝露したトルエンの影響によって性的二型核の組織構造が変容する可能性があると考えられた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Up-regulation of neurotrophin-related gene expression in mouse hippocampus following low level toluene exposure2010

    • 著者名/発表者名
      Tin Tin Win-Shwe
    • 雑誌名

      Neurotoxicology 31

      ページ: 85-93

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 脳の性分化におよぼす発達期トルエン曝露の影響と作用機序2010

    • 著者名/発表者名
      塚原伸治
    • 雑誌名

      室内環境 13(印刷中)

    • 査読あり
  • [学会発表] Live imaging of sodium arsenite-induced apoptosis in PC12 cells2010

    • 著者名/発表者名
      塚原伸治
    • 学会等名
      PPTOXII : Role of Environmental Stressors in the Developmental Origins of Disease
    • 発表場所
      Miami, USA
    • 年月日
      2010-12-08
  • [学会発表] ライブイメージング手法を用いた神経毒性試験法によるPC12細胞のアポトーシスに対する亜ヒ酸ナトリウムを曝露の影響解析2009

    • 著者名/発表者名
      塚原伸治
    • 学会等名
      第32回日本神経科学大会
    • 発表場所
      第32回日本神経科学大会
    • 年月日
      2009-09-18
  • [備考]

    • URL

      http://www.nies.go.jp/risk/mei/mbi002_5.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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