高温接触酸化型屎尿処理プロセスより単離した細菌株の発熱特性を精査するため、50℃及び37℃においてLB培地により24時間培養を行った後のOD値、TOC減少量および菌体増加量を比較評価した。発熱に寄与する細菌は、消費した基質から得られるエネルギーの内、菌体合成に使われる量が少ないであろう、との前提に基づき、TOC減少量に対する菌体増加量を、炭素菌体収率とし、本値の大小を評価した。単離は、実証試験地の処理槽内から採取したオガクズ試料より、培養法を用いて行った。培養液としては、LB培地を用い、ゲル化溶剤には、1.5%Agarまた高温の場合には2%Gellan-gumを使用した。培養区は37℃、50℃、60℃の3区を設定した。本操作により、単離されたBacillusに近縁な37Lay-3、37LGx-2を用い、比較対象にE.coli.k-12を使用し、炭素菌体収率の比較評価を行った。37℃におけるE-coliの炭素菌体収率は、0.59であった。一方、Bacillusに近縁な単離株37Lay-3及び37LGx-2の50℃における炭素菌体収率は、それぞれ、0.14、0.37と、E-coli.よりも低い値を示した。また、特に37Lay-3単離株は、37℃条件下においても、0.26と低い炭素菌体収率を示した。 このことより、高温条件下では、Bacillus近縁種が発熱の維持に寄与していることが示されたのに加え、特に処理槽のスタートアップ時における発熱を推進するのに、37℃における炭素菌体収率も低い、37Lay-3単離株を有効に使える可能性が明らかとなった。
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