本年度は、PEOシリンダードメイン選択的なナノ反応と複合化プロセスによる導電性ナノワイヤの作製の検討を行った。具体的には、AFM/STMプローブによる複合化技術の確立を目指し、電気化学AFM及びSTMにより、電極上の相分離構造の観察と同時に電圧印加を行い、電解重合または電解めっきによる複合化過程を観察した。特に、プローブ-サンプル間距離依存性に注目した観察により、電気力線の膜内密度と複合化が起こるグレインサイズの依存性を検討した。その結果、グレイン境界に電解集中が生じ、過剰に複合化反応が進行し、所望のPEOシリンダードメイン内での導電性高分子成長が妨げられることが新たにわかった。従って、ドメイン境界における電解集中を抑制するプロセス設計が必要であり、次年度以降電極-薄膜界面の単分子層修飾、電解液粘度依存性、電解重合のファンクション依存性などを検討し、この問題を克服する予定である。
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