昨年度までに、一万個レベルの細胞のアレイ化を実現するために、まずは、細胞サイズのビーズのアレイ化を検討した。さらに取り出しに細胞へのダメージを軽減させるための流路デザインを検討した。これまでには、レーザの照射によりバブルを発生させていたが、熱に拠るダメージが危惧されてきた。そのため、バブル発生源をサンプルから遠ざける機構を検討した。これらの実験を効率的に実施するデバイスを作成するために、従来の2次元的なデバイス作成ではなくは、3次元的デザイン(例えば、サンプル直下にあるバブル発生用の空間や、W/O作成時に水溶液が壁につかない同軸円柱流路など)の検討も開始した。本年度は、実際に細胞をゲルでカプセル化することにより、アレイにするための細胞が壊死せずに、培養できるかなどを評価した。また、これらのカプセルを利用した実用性を検討するために、実際にデバイスに導入し、アレイ化する実験を行なった。その結果、アルギン酸ハイドロゲルに内包された細胞が、ダイナミックマイクロアレイ中にトラップされ、効率よくアレイ化できることがわかった。さらに、簡便な生死判定試薬を導入し、これらの細胞が生きていることを確認した。また、レーザによるバブル発生によって細胞ゲルビーズを取り出すことにも成功した。以上の結果から、細胞研究に利用するためのダイナミックマイクロアレイの要素技術が確立されたと考えている。
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