研究課題
平成20年度は本研究の根幹である単一光子素子の評価、単一光子のための単電子トランジスタの評価に集中した。まず、通常の単一光子素子の特性評価、基礎物理の理解のため、その励起子状態の計算を行い、発光寿命など基礎特性を求め、実験結果と比較した。その結果、本研究で用いる量子ドットは非常に高効率で発光し、非発光の効果も少ないことが確認できた。さらに、動作周波数の上限を見積もり、原理的に高速動作(sub-GHz)が可能であることを示した。次に、ジッターのない単一光子発生、また量子情報技術との親和性を高めるため、励起子ラビ振動の観測を行った。コヒーレントな光パルスにより励起子を生成し、光電流測定により読み出した。1パルスあたりほぼ100%1つの励起子ができていること、励起子をコヒーレントに動作させることを確認し、π/2パルスにより、決定論的に単一光子の発生が可能であることを示した。最後に、高効率電流注入素子の実現のため、光機能を持った単電子トランジスタの開発を行った。20nmから30nmの厚みのキャップ層を持つ量子ドットを用いた単電子トランジスタ構造の作製に成功した。高効率な発光を示し、かつ、単電子輸送が可能である事を示した。そのための適切なアニール条件、金属蒸着膜を見出し、電子輸送特性の観測と発光測定をおこなった。単一量子ドットを介した良好な電子輸送特性(クーロンダイアモンドの観測)を観測した。帯電エネルギーは10meV程度であり、電子数を一つづつ変化させる事に成功した。さらに、2重量子ドットを介した伝導測定にも成功した。Orthdox modelに基づく理論計算により、実験結果を再現でき、スピンを用いた高機能な単一光子素子のが可能であることを示した。
すべて 2008 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
J. Appl. Phys. 104
ページ: 013504-11
Appl. Phys. Lett. 92
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http://www.ncrc.iis.u-tokyo.ac.jp/global/nakaoka.html