研究概要 |
平成21年度は光機能を持った単電子トランジスタの開発,測定に集中した。高効率電流注入素子の実現のため、光機能を持った単電子トランジスタの開発を行った。20nmから30nmの厚みのキャップ層を持つ量子ドットを用いた単電子トランジスタ構造を作製し、高効率な発光を示し、かつ、単電子輸送が可能である事を示した。そのための適切なアニール条件、金属蒸着膜を見出し、電子輸送特性の観測と発光測定をおこなった。電子顕微鏡、電子線ホログラフィー、RBS,SIMSといった分析手法を駆使し、低アニール温度においてもAuが拡散していることを確認した。ナノギャップ構造を作成し、4Kにおける測定によって、単一量子ドットを介した良好な電子輸送特性(クーロンダイアモンドの観測)を持つことを確認した。帯電エネルギーは10meV程度であり、単電子トランジスタとして動作することを確認した。さらに、より量子ドット密度の高いサンプルを用い、2重量子ドットが電気的に直列につながった状態の共鳴トンネル、クーロンブロッケードを観測した。Orthodox modelに基づいて2重量子ドットを介したstability diagramを計算し、実験結果を再現することが出来た。このような直列2重量子ドット素子の作製は、これはスピンメモリに向けた重要な結果と言える。さらに、このような素子においてゲート電圧に依存した光電流、発光を観測した。これはゲート制御可能な単一光子素子が本素子構造で作製可能であることを示している。
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