研究課題
これまでのyeast one-hybrid法は、酵母内在性の転写因子に依存したバックグラウンドとなるコロニーが多量に発生するため、ゲノムスケールでの転写因子結合部位の同定はほとんど不可能であった。申請者は、URA3をレポーターとするポジティブとネガティブの2段階セレクションを経ることで、バックグラウンドの99.9%を排除できる改良型yeast one-hybrid法を開発した。そこで、この改良型yeast one-hybrid法を用いて、ヒトゲノム内に存在するレチノイン酸受容体結合部位を系統的に同定し、発生・分化・癌化に関わる多彩な生理作用を担うレチノイン酸受容体ネットワークの解明を本研究の目的とした。本年度は、レチノイン酸受容体結合配列の細胞レベルでの検証とデータベースの公開を目指して研究を進めた。細胞レベルでの検証は、様々な細胞を用いて条件設定を行ったにもかかわらず、RXRとヘテロダイマーを形成する様々な因子が細胞内に存在するため、期待した結果は得られなかった。分子レベルと細胞レベルから得られた全データをデータベース上に統合し、TOHOrSNPdbとしてWeb上に公開した。TOHOrSNPdbでは、(1)クローニングされたゲノム断片の断片の染色体上での位置、(2)その配列内に存在するRXR結合配列とその結合スコア、(3)クローニングされたゲノム断片近傍に存在する遺伝子、(4)RXR結合配列近傍に存在する遺伝子の機能、(5)RXR結合配列近傍に存在する遺伝子と疾患との関連情報、(6)RXR結合配列上に存在するregulatory SNP、などの情報がまとめられている。TOHOrSNPdbは、RXRネットワークの解明につながる有用なデータベースになると期待している。
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J Recept Signal Transduct Res. 30
ページ: 88-105
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http://www.drkazu.com/TOHOrSNPdb.htm