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2009 年度 実績報告書

近現代フランス共和主義における非宗教性とポスト植民地主義的社会構造

研究課題

研究課題/領域番号 19683002
研究機関法政大学

研究代表者

大中 一彌  法政大学, 国際文化学部, 准教授 (60434180)

キーワード移民 / フランス / ヨーロッパ / トランスナショナル / 政治学 / ジェンダー / バリバール / 国際文化交流
研究概要

本研究計画の3年度目にあたる2009年度は、従来からのフランスにおける移民や宗教をめぐる研究を続行するとともに、当初からの予定であった他地域との比較として日本における移民や外国人労働者問題の視点をとりいれた研究活動も行った。
コアとなる従来からの研究課題の領域では、論文「エティエンヌ・バリバール論あるマルクス主義哲学者の軌跡」およびセルジュ・アリミ(大中訳)「知識人とメディア」を上梓した。前者の論文は、いわゆる1968年世代に属するフランスの政治哲学者、E・バリバールに焦点を当てているが、なかでも1980年代以降における非ヨーロッパ系移民のプレゼンスの増大と、これに関連してのフランスの国家(共和制)概念の変容に注目して記述をおこなった。また後者の翻訳は、知識人の役割と政治の関係を問うた、フランス語教育学会が主催したシンポジウムの報告原稿の翻訳である。この翻訳文においては、いわゆる英米式の二大政党制が事実上の保守二大政党制であり、既成の「エスタブリッシュメント」(既得権益を享受する社会層)以外からの政治的な要求を排除しているという批判が述べられている。
フランス以外との比較という視点では、2008年度に行ったイギリスとの比較に続き、2009年度は日本との比較を試みた。わが国におけるいわゆる日系人労働者研究の代表的研究者である、丹野清人氏(首都大学東京)をお招きし、講演会(研究発表、質疑応答を含む)を開催した。丹野氏からは、リーマン・ショック以降の不況下での日系人をとりまく環境は厳しさを増し、そのことは送り出し国であるブラジル側にも影を落としていること、また他面、中長期的には、日本が移民労働力の受け入れを依然として必要とすると考えられ、その意味では欧州や北米の経験を他山の石としつつ、政府を中心に、適切な施策を講ずることが求められているとの分析が述べられた。日本の移民受け入れという視点から西欧、とくにフランスの政策を見るという視点には、ヨーロッパ研究プロパーの人間としては新しい気づきも多く、あらためて異なるフィールドに属する専門家との研究上の交流の重要性を確認する場となった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] エティエンヌ・バリバール論2009

    • 著者名/発表者名
      大中一彌
    • 雑誌名

      21世紀の知識人フランス、東アジア、そして世界(石崎晴己・立花英裕編)(藤原書店)

      ページ: 93-103

    • 査読あり
  • [備考]

    • URL

      http://kenkyu-web.i.hosei.ac.jp/Profiles/0009/0001982/profile.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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