(1) 研究の目的 日本経済の持続的な成長のためには、サービス産業の生産性向上が重要な課題となっているにもかかわらず、製造業と比較してサービス業の生産性についての実証分析は非常に少ない。特に、サービス産業の国際化については、データ整備の遅れもあり、国際化の度合い、実態すら正確に把握できていない状態である。しかし、サービス業の多くは、製造業に比べてサービス業は国際競争に晒されることが少ない。サービス業の生産性向上のためには、外国との取引を増やしたり、外国企業の参入を促すことにより、外国企業の優れた技術や経営ノウハウ等を取り込むことも重要であると考えられる。 本研究では、サービス業に焦点を当て、まず、貿易や直接投資の実態解明を進める。そして、サービスの国際化が国内の生産性に与える影響を計測する。さらに、サービス業の国際化による競争促進が地域の雇用や生産、生産性など、地域経済の発展に対してどのような影響を与えるかを解明する。 (2) 研究の内容 第一段階として、政府統計や民間シンクタンク等から販売されている統計データを用いて、サービス業におけるグローバル化に関連した統計(サービス貿易、直接投資など)をできるだけ詳細な産業レベルで整理する。 第二段階として、サービスのグローバル化が産業や企業レベルのパフォーマンスにどのような影響を与えているかを分析する。 第三段階では、地域レベルの統計を利用し、サービス業のグローバル化が地域経済に与える影響を分析する。具体的には、地域の賃金率や雇用、生産性の変化、生産活動の変化、などを検証する。また、外国企業の参入が地域経済に与える影響についても分析する計画である。
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