平成21年度はこれまでの研究の総括として諸成果の発表を行った。先ず刊行物としては、これまで開発・実践・省察してきた事例を編著書『問題解決型の道徳授業事例集』として刊行した。また、教育雑誌『道徳教育と特別活動』において「問題解決型の道徳授業の概要と理論的背景」、「学習指導過程と具体的な授業の流れ」、「資料分析と発問について」、「小学校下学年における授業実践9例の紹介」、「小学校上学年における授業実践4例の紹介」を連載した。また、問題解決型の道徳授業の応用として、「体験からの学びを通した道徳授業の探究」「問題解決能力を育成する特別活動~デューイの教育理論に基づく特別活動のあり方~」「教育臨床問題としてのいじめとその対策」などの研究成果も発表した。 次に、これまでの問題解決型の道徳授業の成果を研究大会や講演会や研修会で発表した。岐阜県内の小中学校および広島県、長野県、栃木県の小中学校へ指導訪問を行い、教育委員会や地域の研究発表会で講話や講演を行うと共に、問題解決型の道徳授業の普及に努めた。特に、平成21年度から22年度にかけて広島県安芸高田市立吉田小学校で行われた問題解決型の道徳授業に関する総括を行い、上廣倫理財団から表彰を受けた。 第三に、平成21年4月から22年3月にかけてニューヨーク大学のトーマス・リコーナ博士と人格教育について共同研究を行った。この研究は今後の基盤研究Cでも継続的に検討し、その途中経過報告としてウォータールー中学校、ミラード・ホーク小学校、モーガン・ロード小学校の教育実践報告書および論文「行動的人格と道徳的人格の育成」を統合して刊行する予定である。
|