本研究では、問題解決型の道徳授業を文献研究によって理論的に構築し、それを実際に授業で行ってその効果を検証した上で、改善を繰り返しながら実践的研究を行った。 先ず、問題解決型の道徳授業に関する基礎理論を文献研究によって心理学的かつ社会学的な見地から高度かつ緻密に構築することができた。特に、ジョン・デューイとのプラグマティズムやリチャード・ローティのネオ・プラグマティズムと教育理論を道徳教育理論に関連づけて問題解決型の道徳授業を理論的に解明することができた。また、道徳授業と特別活動の連携を図ることで、道徳的実践力を育成する教育方法を開発した。 次に、問題解決型の道徳授業を開発・実践・省察することによって、その教育的効果と意義を多角的に検証することができた。こうした問題解決型の道徳授業を広めるために、岐阜県をはじめ、広島県、愛知県、東京都、栃木県などの小中学校で講演や指導訪問を行った。 さらに、海外に出張してアメリカの人格教育の主要な指導者であるトーマス・リコーナ博士やマチュー・デイビッドソン博士と連携・協力することで、問題解決型の道徳授業の多彩な応用アプローチを開発・実践することができた。また、人格教育の理論と実際的方法をわが国の道徳教育と関連づけて紹介することができた。
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