研究概要 |
本年度は,発達障害のある子どもと典型発達の子どもを対象とした基礎的データを蓄積することに重点を置いた研究を進めた。特に,申請者が日本版の標準化に関与した個別実施の認知検査であるDN-CAS認知評価システムの発刊がなされたことにともない,この検査を用いた発達障害児の認知特定の理解とこれをふまえた支援の検討に重点を置いた。これらの成果は日本特殊教育学会と日本LD学会での発表に反映された。 あわせて,注意と行動制御の評価課題についても年齢横断的な検討をおこない,一応の分析を終えている。この成果については次年度以降の研究発表等に反映させる予定である。さらに,電気生理学的手法(課題遂行時の脳波,事像関連電位,皮膚コンダクタンス反応など)については,導入した機器による予備的検討を進め,その成果の一部は日本生理心理学会での発表に反映させた。また,心理学的評価と電気生理学的手法を組み合わせた発達障害児の認知特性評価についても,経年的指導に同意が得られた対象児の結果の一部を分析した結果を慶應義塾大学グローバルCOEプログラムにおいて発表した。 このように,本年度は年齢横断的な基礎的データの拡充を重点的に行ったが,経年的指導・援助プログラムへの参加承諾が得られた児については本年度に実施できる範囲の心理学的アセスメントを終えている。次年度以降はアセスメントの結果をふまえた個別の教育支援計画の実施を継続して行うとともに,電気生理学的手法を組み合わせた支援効果の検討を進める予定である。
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