平成19年度は(1)既存の30cm角マイクロTPCによる神岡地下実験室でのバックグラウンド測定、(2)低バックグラウンド検出器開発のためのラドン検出器製作、(3)大容積検出器開発のための基礎試験を行った。 (1)30cm角マイクロTPCを用いて神岡地下実験室で一年間の安定した測定を行った。宇宙線の影響の少ない環境での測定により、現在の検出器は内部の放射性不純物からのバックグラウンドが感度を制限していることが判明した。観測結果とシミュレーションによる研究の結果、ウラン・トリウムなどの放射性不純物からのアルファ線、さらにラドンとして検出器有功体積中への混入が主たるバックグラウンド源であることが判明した。また、活性炭などによるラドン除去を実現するためのガス循環システムを構築した。平成20年度、実際にラドンが減少すること、マイクロTPCの動作に影響を与えないことを地上の実験室で確認したのちに、地下システムに導入する。 (2)低バックグラウンド検出器を製作するための材料選択に使用するために、シリコン検出器を用いたラドン検出器を製作した。平成20年度にはこの検出器を用いて材料選択及び、材料からのラドンの放出を低減させる研究を行い、大型マイクロTPC製作の準備を進める。 (3)大型マイクロTPCを製作するために、ドリフト長が50cmあるマイクロTPCを製作、実際に50cm先の事象を検出可能であることを確認した。平成20年度は地上の実験室に於いて飛跡検出精度など詳細の測定を行い、大型マイクロTPCの設計を行う。
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