研究課題
本研究では、レーザー分子線エピタキシー法により原子レベルで構造を制御した「強相関酸化物量子井戸構造」を作製し、その電子状態を光電子分光法により直接決定することで、新規な低次元電子状態をデザインすることにある。そのため、本年度は、異なる酸化物を接合した「酸化物ヘテロ界面」で発現する新規な2次元電子状態にターゲットを絞って研究を行った。具体的には、LaO電荷供給層からのδドープによる界面2次元電子状態形成が示唆され話題を呼んでいる、バンド絶縁体LaA10_3とSrTiO_3とのヘテロ界面について測定を行った。その結果、バンド絶縁体界面で発現する金属層の起源として、これまで提案されてきた界面数層における「電荷移動」現象ではなく、極性LaAl0_3/SrTiO_3界面の電荷不整合による電位発散を防ぐためにSrTiO_3の酸素欠損により生じたキャリアーが界面に形成されるノッチ構造に蓄積されることがその起源であることを見出した。また、これらの研究と同時並行して、軟X線領域(300〜1200eV)での精密フェルミ面マッピングを行うために、高精度の二軸(θ,φ)マニュピレータの設計を行った。これにより、2軸角度スキャン(k_x,k_yスキャン)と放射光エネルギースキャン(k_zスキャン)を連動させることで自動3次元フェルミ面マッピング機構が可能になった。
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