強相関電子系遷移金属酸化物は、スピン・電荷・格子・軌道の自由度により非常に多様な相を作り出す。特に、競合する相近傍においては、外部の僅かな刺激により、劇的な電子状態の変化を制御することが可能である。従って、既存の半導体テクノロジーの延長線上にはない、新たなブレークスルーを引き起こす可能性を持っている。本研究で扱った電場印加による桁以上の巨大な抵抗変化は有用な電気特性を示すが、デバイスとしての特性を更に上げ、実用化するためには、CER効果そのもののメカニズムは解明を行う必要がある。電場印加することにより、金属/酸化物界面にその電気的・化学的特性が可逆的に変化する新規な状態が存在すると考えられている。 今回、マンガン酸化物薄膜に金属を蒸着することによる薄膜の影響を明らかにするためにX線回折測定を行った。まず、PCMO薄膜の厚さに対応した周期性を持つフリンジが観測された。金属蒸着部を測定するとフリンジが観測された。そのフリンジの大きさは、蒸着していない薄膜のフリンジの大きさと比べて小さいことが、今回の研究で明らかになった。このことは、金属蒸着に伴い界面の状態が変化したことを意味する。界面のラフネスが大きくなったことが要因と考えられる。
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