研究課題
本研究の目的は、隕石衝突や断層運動に伴って生成される衝突熔融脈やシュードタキライトをもちいて、衝突プラズマ仮説や地震電流仮説といった自然界で駆動するプラズマ現象を古地磁気学と地質学の立場で検証することである。しかしながら、これらのプラズマ現象を検証するためには変質を避け、安定な古地磁気記録を有している微細な構造を見つけ出し、その微細部分のみから古地磁気記録の熱消磁分析をおこなわなければならない。そこで、これまでに1) 走査型磁場顕微鏡の高度化、2) 隕石薄片中の磁化鉱物を真空状態で段階的にレーザースポット加熱消磁する装置の開発、3) 高圧鉱物相が発達する衝撃隕石に発達する溶融脈が、最終衝撃時以降変成作用をまったく受けていないことを磁化と高圧鉱物相の温度一時間関係から導出、4) 南アフリカ・ヴェデフォート隕石孔周辺花崗岩のもつ異常残留磁化の原因物質が黒雲母の衝撃変態による細粒磁鉄鉱であることの発見、5) 台湾集集地震の震源断層であるチェルンプ断層深部断層岩の異常な古地磁気特性による地震電流仮説の検証と6) 白亜紀花崗岩中の斜長石単結晶をもちいた古地球磁場強度の推定、を実施した。このように、走査型磁場顕微鏡によりスポット古地磁気情報の解読から溶融脈や単結晶斜長石をもちいた選択的古地磁気解析をおこなうことで、変質を避けつつ、信頼のおける古地磁気情報の抽出とその技術開発をおこなっている。
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地質学雑誌 (印刷中)
Studia Geophysica et Geodaetica 52
ページ: 211-223
http://www.dges.tohoku.ac.jp/igps/nakamura.htm