本課題の目的はタンパク質の構造と機能を明らかにするために、単一のタンパク質の振動分光法を世界にさきがけて成功させることにある。生命現象の理解を深める上で、その機能を司るタンパク質を研究することは非常に重要であることは論を待たない。単一分子分光では、一つのタンパク質のみを観測することによって、上記のような構造の多様性による実験の難しさを除去できるため、国内外で広く試みられている。特に、低温下では熱による構造変化を抑えることができるため、均一幅が支配する非常にシャープな自家蛍光の電子スペクトルが得られている。しかし、得られる電子スペクトルは構造や機能を間接的に反映するものの、直接的な情報を与えない。このため、分光学的な議論をするためには統計量の結果が必要であるため、従来法では平均構造を議論するにとどまっている。
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