本研究では、これまで誰も成功していなかったタンパク質の中赤外吸収スペクトルの1分子観測に成功した。これまで、中赤外吸収を測定するには、感度が良いとされる顕微赤外分光装置でも、100万個のタンパク質が必要であり、1分子の観測例は無かった。そこで、我々は従来法を改良するのではなく、以下に示す全く新しい光学課程を用いて、これを1分子観測を実現した。数ケルビンでも、タンパク質を結合させた色素の蛍光測定し続けていると、無蛍光状態になる。この時、タンパク質に共鳴する赤外光を入射すると、色素の状態が無蛍光状態から蛍光状態に変化することを発見した。我々はこの光学現象を用いて、タンパク質の赤外吸収スペクトルの1分子観測に成功した。
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