ミクロな構造情報の実測法であるX線小角散乱法(SAXS)およびX線回折法(XRD)に、計算機科学の一手法であるリバースモンテカルロ法(RMC)を組み合わせ、ナノ空間中の分子混合状態の決定法を確立することが本研究の目的である。吸着状態のIn situ(その場)測定に最適化したX線測定装置を構築し、RMC法の混合吸着系への適用を行って、活性炭-硫酸-水系をはじめとする種々の吸着系への適用を行った。その結果、細孔内で硫酸イオンと水が水和クラスターとも呼ぶべき共同的振る舞いをすることをはじめとする細孔内分子の特異な振る舞いを見出し、ナノ空間中の分子混合系の実験的、解析的な記述法を大きく進展させることができた。
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