本研究では、高強度レーザーの周期電場による周期的なレーザー電場イオン化によって生成する分子イオンの内部状態分布について、位相まで含めて明らかにし、その振電波束が強レーザー場中でどのように時間発展していくかを実験、理論の両面からに明らかにすることを目的としている。以下が本年度の研究成果である。 (1) 光電子・光イオン同時計測装置を設計・製作した。現在、装置の立ち上げをほぼ終え、2つの検出器の同期テスト等を開始している。次年度の早い段階で利用実験を行う予定である。 (2) 強レーザー場によってイオン化した分子の状態を、さらに2価へイオン化するためにひつような高次高調波発生の装置の整備を進めた。 (3) トンネルイオン化の確率が高い条件化においてイオン化しない中性分子の回転状態の時間発展計算を行った。イオン化の配向角度依存性が大きいことから、イオン化によって中性分子の分布が減少すると同時に、中性分子間の状態分布の移動も起きることが明らかとなった。
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