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今年度は、エレクトロマイグレーション法によって作成したギャップ間隔10nmの電極間に単一の金ナノ粒子とオリゴチオフェンまたはジアリールエテンからなる素子を作成し、その電導挙動、光応答挙動について検討した。作成した素子は、極低温でクーロンプロッケード挙動を示すことが明らかとなった。ゲート電圧をかける事により、クーロンプロッケードの挙動がゲート電圧によって制御可能であることが分かり、単一電子トランジスタを構成していることが示された。この単一電子トランジスタに対して、紫外光を照射したところ、光照射に伴って電流値が不連続に変化することを見出した。電流値の変化が不連続であること、また電流値のヒストグラムにおいてピークを持つことから一分子由来の現象であることが示唆された。この変化は、光強度に依存し、また、有機物の吸収が起こる波長の光のみで起こることも明らかとなった。微分コンダクタンスマッピング等による定量的な評価の結果、不連続変化はクーロンアイランドのポテンシャルシフトに由来していることを明らかにした。つまり、光照射がゲート電圧をかけるのと同等の効果を与えていることになる。また、そのメカニズムは金ナノ粒子周辺のオリゴチオフェンのコンフォメーション変化によって説明できることが示唆された。ジアリールエテンの場合は電導に関与しない部分のジアリールエテンのフォトクロミズムがクーロンアイランドのポテンシャルシフトを引き起こしていることが示唆された。
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