当初の対象材料とした、マイエネイト12CaO・7Al_2O_3に加えて、同様の結晶構造を持ち、優れた特性が期待されながらも、安定性に乏しいストロンチウム・マイエネイト12SrO・7Al_2O_3に展開した。この材料に比較的低温でも適用できる極還元処理を施すことで、電子およびH^-イオンを包接させる事に成功し、その状態の計測から、より良好な電子特性を持ちうる事が示唆された。 またCa_<12>Al_<14-x>Si_xO_<32>Cl_<2+x>の組成をもつワダライトと呼ばれる結晶において、表面に吸着した水が起源となって、良好なプロトン伝導性が得られることを発見して、湿度センサーとして適用可能である事を示した。このプロトン伝導性はドーピングした塩化物イオンの濃度に依存して増大し、最大のものでは、湿度10-90%の範囲で4桁の伝導度変化を示し、実用的であることが示された。 マイエナイトなどのケージ中に捕獲された電子の定量のため、ヨウ素酸化還元的定法を開拓した。特に、電子濃度が高濃度になると有効な定量手法が無かったため、特に有用であり、この手法を用いて、電子濃度の再評価を行った。従来の適用例が陽イオンの価数変化に起因するものであるが、今回の結果は電子自体が酸化還元にかかわっている点が独自な点である。またこの結果に基づいて電子輸送特性の再評価を行った。
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