本研究の目的は、三次元ネットワーク型多孔質セラミックス複合材料(UPC-3D)を、第1世代のコーディエライト、第2世代のSiCに継ぐ、第3世代のディーゼル粒子除去フィルター(DPF)用部材とするために必要な、新しい材料系・製造プロセスを学術的観点から明らかにすることである。本研究を通して、UPC-3Dを実用材料の域に近づけることを目指す。具体的には、高耐熱性・低熱膨張が期待され、雰囲気炉焼成が不要な酸化物系を中心に、第3世代となる複合材料系を探索するとともに、焼成炉への影響が少ない助剤の探索、現実のフィルター用途に適した10ミクロン付近の均質な平均細孔径の実現、ハニカム構造体製造に必要な押出成型プロセスの検討、メーカー・産総研等と協力のもとでのフィルター性能評価等を進めることを目指している。 平成20年度の主な研究成果は以下のとおりである。 1. 多孔体の製造プロセスと細孔径・細孔形状の相関について詳細に検討を行い、総説としてのとりまとめを行った(材料系学術誌では高インパクトのMRS Bulletin誌2009年8月号に掲載予定)。 2. 多孔体の表面処理を液相プロセスで行うことを目的とし、交互吸着法による触媒用ナノワイヤーコーディング膜の開発に成功した(J. Ceram. Soc. Jpn.2009年3月号に掲載) 3. 試作ハニカム材について、成型時の割れ・寸法変化等についての原因調査を行った。 4. 連携企業との間で、候補材料についての予備的検討を行った。
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