研究概要 |
本研究の目的は、高耐熱性・低熱膨張が期待され、雰囲気炉焼成が不要な酸化物系を中心に、第3世代のディーゼル粒子除去フィルター(DPF)用材料系を探索することである。焼成炉への影響が少ない助剤の探索、現実のフィルター用途に適した10ミクロン付近の均質な平均細孔径の実現、ハニカム構造体製造に必要な押出成型プロセスの検討、メーカー等と協力のもとでのフィルター性能評価等を進めることを目指している。 平成21年度の主な研究成果は以下のとおりである。 1. MgTi205系セラミックスが第3世代DPF材料の有力候補となりうることを見出し、反応焼結法を用いた多孔体の作製を行った。非常にシャープな細孔径分布を持つ多孔体の作製に成功し、この成果が新聞紙面上にも大きく取り上げられた(化学工業日報2010年4月1日掲載) 2. 本成果発表を受け、世界有数DPFメーカーである国内メーカーが本材料系に強い関心を示し、熱膨張特性等の共同性能評価を開始した。 3. 本多孔体に米国の大手分析機器メーカー(Quantachrome Instruments社)が強い関心を示し、多孔体標準試料としてサンプル提供を開始した。 このように、本研究における多孔体研究開発は、基礎から応用に向けて大きな進展が見られた。 さらに、本研究から派生した内容で以下の進展があった。 4. 多孔体の表面処理を液相プロセスで行うことを目的とし、交互吸着法によるナノチューブ膜成膜に関する問題点を明らかにした(Trans. MRS-J, 34, 545-549(2009).掲載)。また、1次元ナノ材料の合成・成膜に成功した。(J.Jpn.Soc.Powd.Powd.Metall., 56, 640-644 (2009). ; J.Nanosci. Nanotech., 10, 2284-2291(2010).)
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