研究課題
高強度の近赤外フェムト秒レーザーパルスを水に集光すると、多光子吸収によりその集光点で爆発的な水の形態変化が誘起され、衝撃波およびキャビテーションバブルが発生する。本研究では、この衝撃波参よびキャビテーションバブルの発生過程で生じる過渡的な応力を原子間力顕微鏡(AFM)により検出できるシステムを構築し、その評価を行った。その詳細を下記に示す。・AFM探針の挙動観察フェムト秒レーザー誘起応力波により誘起されるAFM探針の揺れを、光テコにより四分割フォトダイオード(QPD)で検出した。次に探針をガラス基板に押しつけて、探針の変位とQPDの電位変化の関係を求め、応力波によるQPDの電位変化を探針の移動量に変換した。さらに探針のバネ定数から、力の変位を求めた。その結果、探針にはuN相当の力が瞬間的に加わっていることが明らかになった。・AFM探針の振動解析レーザー集光点で発生した応力波が球面波として伝搬すると仮定し、応力波がAFM探針を押す力をモデル化して解析した。AFM探針の運動は、粘性媒体中の片端固定のはりの曲げ振動として表され、そこに外力(応力波)が加わるというモデルで表される。このモデルを用いて実験結果として得られるAFM探針の過渡減衰振動を再現することができた。・細胞の接着力評価前年度から引き続きフェムト秒レーザー誘起応力波による細胞の引き剥がし実験を行い、この方法が細胞間の接着力の評価方法として有効であることを示した。来年度は、細胞に印加されるフェムト秒レーザー誘起応力波をモデル化し、細胞間接着力の定量評価をしたいと考えている。
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