液体材料は、その扱いやすさから工業や医療など様々な分野において広く用いられている。特に近年、ナノテクノロジーが脚光を浴びるとともに、液体をナノメートルオーダーの微小領域で操作することの必要性が高まっている。また、インクジェットプリンタの普及にともない液体微粒子の生成・制御に関する研究も盛んに行われている。本研究では、レーザー光の放射圧を用いることで液体微粒子の大きさをより小さくする技術の開発、および、それに伴って予想される新しい物理現象の観察など、液体ナノ微粒子の表面物性の研究を行うことを目的とする。本年度は、光学顕微鏡にストロボ光源を組み合わせたシステムを用いて液滴の基準振動モードを観察することにより液滴の表面張力および粘性を液滴状態で測定するミクロ液体表面物性計測法の確立を行った。また、本手法を用いて微小液体表面の物性研究を進めるとともに、液体薄膜における局所表面物性研究をリプロン光散乱法を用いて行い、液体表面と界面の間に伝搬する微小振動のエネルギーモードの解明を行った。さらに、微小液滴生成実験を行っている際に見いだしたサテライト液滴の規則性を利用することで、より微小な粒子を生成する試みを行った。サテライト液滴はこれまで対象としてきた主液滴に比べ、体積にして1000分の1程度と非常に小さいことから、これを利用することで本研究の成果を、より小さな液滴を実現するという点で飛躍的に高めるものであると期待される。このサテライト微小粒子の生成および光学的観察に成功した。
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