研究概要 |
1. パターニング法の確立磁気ディスク表面に実用されているPFP系高分子潤滑剤のうち, 代表的な3種類(紫外線官能型潤滑剤AM3001, 極性潤滑剤zdo12000, 無極性潤滑剤Z03)を用いて, 磁気ディスク表面に厚さ約3.5nmの潤滑膜を形成し, 紫外線(UV)照射/非照射領域におけるボンド膜厚と表面エネルギー, また潤滑剤有無の段差状境界からの表面流動(段差境界流動), さらにUV照射/非照射の境界領域の表面流動(照射境界流動)などを測定した. これらの測定結果に基づいて, UV照射による分子潤滑膜とディスク表面との結合のメカニズムや, 表面上の存在形態, パターニングの最適条件などを明らかにした. 2. パターニングのメカニズムの解明分子動力学法を用いて, 固体表面における分子潤滑膜の分布を再現するとともに, UV照射による潤滑剤極性末端基と固体表面との相互作用の増加が潤滑膜の分布に及ぼす影響を評価した. 固体表面と潤滑剤分子末端基の極性相互作用の増加とともに, 照射/非照射領域の膜厚の差(凹凸構造)が増大することを明らかにした. また凹凸構造の形成は, UV照射領域の分子密度の増加に伴う分子の扁平率の減少に起因することを見出した. 3. 力学特性の測定UV照射が単分子層潤滑膜の凝着特性に及ぼす効果を, 原子間力顕微鏡(AFM)を用いたフォースカーブ測定により評価した. UV照射時間の増加とともに, 凝着力が増加したが, 測定プローブとディスク間の潤滑膜液架橋が形成されにくくなったことを確認した.
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