本研究では、電着技術によるサンゴ増殖メカニズムの解明と、それによってどの程度サンゴの成長促進が図れるか、さらにその最適条件を解明することを目的としており、特に同技術の効果と環境依存性・種依存性を解明する。また電着技術を最大限に応用して、サンゴ幼生が活着しやすい基盤を開発する。これにより、効率的なサンゴ幼生の採取と、活着後のサンゴの成長を自然界と比べて高める技術を開発する。最終的には、沖縄県等のすでにサンゴ礁が破壊された海域における、サンゴ礁の復元、再生、創造を行うための、サンゴ礁再生技術の運用方法を示し、例えば海岸浸食を食い止めることが困難な離島において、自然のサンゴ礁形成を促進し、領土の防御と潤いある発展の両立に寄与する。具体的に上記の目的を達成するために、(1)実証実験のためのサンゴ棚を製作し、石垣島の沖合の海域に設置した。(2)研究の継続を推進する過程で竹富東港浮桟橋のモニタリングを行った結果、実海域においてもサンゴと電気の関係が明らかになった。(3)「サンゴに微弱電流がどのように影響しているか」定量化するために室内実験を行い、極めて微弱な電流によりサンゴの光合成活性や成長率が高まることが明らかになった。(4)さらに、有性生殖でのサンゴ増殖を実施するため、基盤を実海域に設置し、幼生の活着率や残存率が極めて微弱な電流において高まることが確認できた。(5)サンゴの種類としては、ミドリイシ系の枝サンゴに比較して、基盤への活着して増殖するタイプのサンゴの成長促進が図られることが明らかになった。
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