高齢者独居世帯を対象とし、住居内の部屋滞在行動と部屋間移動行動をRFIDセンサーを用いた客観的観測データで取得し分析した。 結果として、第一に、8日間に亘る調査期間の中で被験者の各部屋に対する滞在時間と滞在回数が明らかになった。被験者は居間と台所にほぼ同じ回数滞在していたが、滞在時間は居間が最も長かった。各日に共通して見られる、午前、昼間、夕方の各時間帯によって異なる滞在状況が明らかになった。第二に、部屋滞在状況が「一つの決まった部屋に滞在」、「主に一つの部屋に滞在」、「2つの部屋に交互に滞在」、「複数の部屋に滞在」の4種類に分類された。「一つの決まった部屋に滞在」と「主に一つの部屋に滞在」が各日に共通して顕著であった。被験者は調査期間の起床中の時間帯の3/4以上の時間において、ある部屋を中心に行動していることが明らかとなった。第三に、被験者の部屋間の移動の頻度と、1日のうちの時間帯によって異なる部屋間の繋がりの関係が明らかになった。居間と台所と洗面所の間の移動が、他の部屋間の移動に較べて最も強かった。午前は台所と洗面所、居間と洗面所間の移動が多く、午後は居間と台所間の移動が多いことなどが定量的に明らかになった。
|