研究概要 |
本年度はメカノケミカル法を用いて,硫化リチウムと様々な金属から高容量電極材料の作製に取り組んだ。得られた電極材料とLi_2S-_2S_5系固体電解質から構成される全固体電池の特性評価を行った。硫化リチウムと銅の組成について検討したところ,全固体電池(ln/Li_2S-Cu)は75Li_2S・25Cu組成の電極を用いた場合に最も大きな容量を示すことがわかった。ボールミル処理時間について検討したところ,5時間の処理で放電容量は最大の500 mAh g^<-1>(Li_2S重量あたり約700 mAh g^<-1>)となり,さらに処理時間を増加させると容量は減少した。またCu以外の金属としてFeおよびNiを用いた75Li_2S・25Feおよび75Li_2S・25Niの合成を行い,全固体電池へ適用したところ,75Li_2S・25Cuに比べて電池容量が小さいことがわかった。固体電解質として用いた80Li_2S・20P_2S_5ガラスセラミックスもLi_2S成分を含むため,活物質としての利用を検討した。80Li_2S・20P_2S_5ガラスセラミックスとCuとアセチレンブラックを乳鉢で混合して作製した電極合剤を正極に用いた全固体電池は充電方向から作動させることができ,充放電が可能であった。Cuの添加によって固体電解質自身もリチウム源となり,全固体二次電池の電極活物質として機能することを見出した。高容量負極材料として,金属リン化物に着目した。メカノケミカル法を用いてNiP_2を合成し,それを全固体電池の電極に適用した。全固体電池Li-In/NiP_2は充放電が可能であり,充放電のプラトー電位は電解液を用いた電池のそれとほぼ一致しており,初期放電時に約1100 mAh g^<-1>の高容量を示した。また,Cu_3Pを電極に用いた全固体電池も室温で二次電池として作動することがわかった。
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