研究概要 |
はじめに,地震波干渉法理論に基づき,ランダム地上震源の利用により都市環境ノイズ下で十分なS/N比を有する記録が得られるか,弾性波数値シミュレーションで解析した.同条件で通常の反射法地震探査記録も計算し,両者を比較した.その結果,都市環境ノイズにより通常の反射法地震探査と同様な地下断面が得られることが確認された. 次に,地下鉄による地下浅層に直線上に集中分布する都市型特有の震源を設定し,弾性波数値シミュレーションにより波動伝播記録を取得した.地震波干渉法処理に適した振動波形となるためには,振動間隔がランダムである方が望ましいことが判明した. また,新規に設計製作したモデル試験用水槽の最適な仕様設計を水槽内の波動伝播をシミュレーションで再現し検討した.塩化ビニル製の内壁に対し,金属枠で補強する設計とした. さらに,実際の都市域において,都市型ノイズの記録を行った.京都盆地内の地下を走行する京阪電車の振動を測定し,地震波干渉法により解析処理を行った.電車の振動は自然地震と比べると微弱であり,深部地下構造の解析には向かないため,浅部構造の解析を行った.P波探査では,過去に京都市が行った反射法探査で確認される基盤岩の傾斜傾向と同様な反射構造を捉えることに成功した.また,3成分受振器によって得られた水平成分のS波を用いた計測結果が良好であり,観測記録を相互相関して得られた擬似ショット記録からは明瞭な反射イベントを確認でき,都市型ノイズを利用した反射法地震探査の実現性が確かめられた.
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