高空間分解能でのプラズマ周辺部における電流分布、電子密度、密度揺動、イオン温度および回転の同時測定のためのリチウムビームプローブを開発し、JT-60へのビーム入射に成功するとともに初期的なデータを取得した。プローブビームとなるリチウム中性粒子ビームについては、テストスタンドでの引き出し試験を実施するとともに、当初の目的である10mA以上のビーム引出に成功した(50秒間)。また、ビーム輸送および収束試験とともにスペクトル測定等も実施し、成功裏に単体試験を終了させた後、JT-60装置に移設した。光学系および光ファイバーの敷設を終了し、光軸確認により高分解能計測が可能であることを確認するとともに、さらにデータ収集系等を整備して、実際のプラズマ入射によるビーム軸調整を開始したところである。またプラズマ周辺部のパラメータ同時計測用の複合偏光分離光学系を開発した。本計測において、特に周辺電流分測定において重要となるエタロンフィルターは、精密微動回転ステージによって波長チューニング可能であり、ツインエタロン方式による高精度偏光分離計測ができる見通しを得た。実際のJT-60実験において、1mA程度の低電流(低パワー)での診断用リチウムビームのプラズマ入射による電子密度に関する初期的結果が得られている。今後ビーム電流を増加させるとともに、偏光分離計測およびスペクトル計測を実施し、電流分布、電子密度、密度揺動、イオン温度および回転の同時測定からプラズマ周辺部における安定性解明のためのデータを取得する。
|