本年度の研究では、検出部光学系の開発・調整、較正試験、プラズマ測定を行った。検出部光学系の開発・調整では、平成19年度に製作したエタロンおよびバンドパスフィルターを用いてゼーマン偏光分光を行う検出器の調整を実施した。入射光学系で集光した光をJT-60周辺室へ導き、プラズマからのビーム発光の波長スペクトルを分光器を用いて計測し、目的とするゼーマン偏光の成分(σ成分)を取り出すように検出器をチャンネル毎に調整し、調整した検出器をJT-60本体室(地下PIG室)に設置した中性子遮蔽用シールドボックス内に配置し、環境温度の変化への対応等、必要に応じてさらに調整を行った。較正試験ではトロイダル磁場コイルおよびポロイダル磁場コイルを通電してガスを封入したプラズマ真空容器中ヘビームを入射し、ビーム発光の観測によりビームライン角度の調整及び偏光計測の較正を実施した。実際のプラズマ測定では、オーム加熱プラズマおよび低閉じ込めプラズマにて測定値の妥当性を確認した後、閉じ込め改善モードにおける計測を行った。ビーム発光と背景光の強度比を確認しつつ、ビームの運転(モジュレーションなど)およびプラズマパラメータを調整し、高精度のデータを取得できた。測定値(磁場のピッチ角)から電流分布を求められるようプラズマ平衡コードを改造し、境界輸送障壁部における詳細な電流分布を評価した。合わせて、詳細な電子密度分布、電子密度揺動分布、イオン温度分布、および回転分布を計測した。
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