初年度は研究遂行に必要な設備を導入して実験環境を整えることに重点をおくとともに、平成20年度からの照射材を用いた実験に向けた準備を行った。以下に項目別にまとめる。 1.強磁性材料のEMAR特性メカニズムの解明と高精度計測システムの構築 (1)計測システムの構築 電磁超音波測定システム(RITEC社製RAM5000)を導入し、システムを立ち上げた。 (2)計測用EMATセンサーの開発 シャルピー試験片の特性評価用に、既存の電磁石と組み合わせた全体共振センサーを作り、共振スペクトルの印加磁場依存性を明らかにした。また汎用の板厚共振センサーを作った。あわせて照射材測定用のセンサーについて検討を行った。 (3)模擬材を用いた実験 圧延率の異なるS15C鋼について、転位組織とEMAR特性の関係について検討した。粒径の異なる2種類の熱時効前FeCuモデル合金のEMAR特性を調べた。 2.中性子照射した圧力容器鋼のEMAR特性の解明と脆化メカニズムの検討 (1)東北大金研・大洗施設ホットラボでの準備 関係者と協議し、原子力機構ホットラボに保管していた基盤研究Sで作製した残存照射試験片を東北大金研の大洗施設ホットラボに移送し、それらを用いたEMAR実験ができる体制を整えた。 (2)米国・UCSB・Odetteグループとの打ち合わせ UCSBグループの来日にあわせて、今後の実験に関する打ち合わせを行った(8/16および10/22)。
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