圧力容器鋼の照射脆化評価の基礎研究として電磁超音波共鳴(EMAR)計測実験を実施した。本年度の成果を以下にまとめる。 (1)強磁性材料のEMAR特性メカニズムの解明と高精度計測システムの構築 照射模擬材であるFe-Cuモデル合金について、赤外線加熱炉を用いて系統的に等温・等時焼鈍を行い、硬度、電気抵抗、EMAR特性計測を行い、Cu析出過程での音速と減衰係数の挙動について詳細に検討した。バンド計算結果の報告と対応させながら変化機構を説明した。 (2)中性子照射した圧力容器鋼のEMAR特性の解明と脆化メカニズムの検討 (2-1)東北大金研・大洗施設ホットラボでの実験 東北大金研・大洗施設にEMAR装置を搬入し、中性子照射材に対してEMAR計測をホットラボで実施した(12月)。 2種類の圧力容器鋼の超音波共鳴スペクトルの計測に成功し、音速と減衰係数に与える照射効果を明らかにした。 (2-2)米国・UCSB・Odetteグループとの打ち合わせと実験 米国・UCSBにEMAR装置を搬入し、中性子照射材に対してEMAR特性計測を実施した(8月)。 圧力容器鋼モデル合金の超音波共鳴スペクトルの計測に成功し、減衰係数に与える照射効果を明らかにした。 照射模擬材の結果と比較して、照射材のEMAR特性の変化機構を説明した。
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