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1. 複数の藻類遺伝子型ペアについてトレードオフの「形」を評価する実験を昨年度より継続して行った。トレードオフの形は、ワムシと藻類からなる捕食者-被食者系の個体群動態と進化動態に影響を与える重要な要因であることが理論モデルにより予測されている。様々な藻類遺伝子型を単離し、AsQ-PCR法により遺伝子型頻度が評価できる遺伝子型ペアについて、ワムシ捕食者に対する抵抗性と、異なる栄養塩濃度における増殖速度(競争能力の指標)を測定した。その結果、藻類遺伝子型ペアによってトレードオフの形が大きく異なることが明らかとなった。ある藻類遺伝子型のペアでは、捕食に対する抵抗性と競争能力の間にトレードオフ関係が見いだされたが、トレードオフ関係がなく一方の藻類遺伝子型がいつも適応的となるペアも見つかった。さらに、先行研究ではトレードオフ関係にあるとされた株ペアから単離された遺伝子型ペアが必ずしもトレードオフ関係を持たず、株内に相当の遺伝的多様性が存在することが明らかとなった。
2. トレードオフの異なる形が、捕食者-被食者系の個体群動態と進化動態にどのような影響をもたらすのかを実験的に検討するため、連続培養装置(ケモスタット)を用いた長期培養を試みた。先行研究と同様の実験条件にも関わらず長期培養は当初は成功しなかったが、培養条件などを微調整することにより、長期培養が可能になった。しかし、個体群動態と進化動態に対するトレードオフの形の効果を検証するには時間が足らず、今後の課題として残った。
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