研究概要 |
大腸菌においてユビキノンと共役して蛋白質ジスルフィド結合を創りだす膜酸化酵素DsbBの構造生物学的および生化学的研究を徹底的に遂行した。中でも、DsbBの反応始状態の結晶構造を、モノクローナル抗体Fabフラグメントとの共結晶化により、3.4Å分解能で解くことに成功した。またDsbBの膜に水平に位置するαヘリックスの機能的役割について詳細な変異体解析を行い、この膜水平ヘリックスと膜との親和性がDsbAからDsbBへの効率的な電子移動反応に重要であることを解明した。以上の結果、DsbBが基質であるDsbAを酸化する過程における構造ダイナミズムが原子レベルで明らかとなり、DsbBの作用機序に関する深い知見が得られた。以上の研究成果は、2009年3月18日付けのEMBO J誌に掲載されるに至った(Inaba*et al, EMBO J.28, 779-791(2009))。これに加え、大腸菌のDsbシステムに関する英文総説をCurr. Opin. Struct. Biol.誌、Biochim. Biophys. Acta. Mol. Cell Res.誌に相次いで掲載した。H20年度に本研究者が中心となって発表した論文は計7件(英文5件、和文2件)である。さらに、Gordon research conference on thiol-based redox regulation & signaling(イタリア)および国際結晶学会 (大阪) などの権威ある国際学会において招待講演を行った。H20年度に本研究者が中心となって学会発表した演題は計8件(国際学会5件、国内学会3件)である。
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