研究概要 |
26Sプロテアソームはユビキチン鎖が連結したタンパク質を分解する細胞内プロテアーゼであり、すべての真核生物において生存に必須の役割を果たしている。プロテアソームは酵母からヒトに至るまで高度に保存された構成と分解作用を有するが、哺乳類においては多様性を獲得するとともに特有の生命現象(神経、免疫、癌、老化)に関わっていることが知られるようになり、近年プロテアソームとの関連がクローズアップされ始めている。研究代表者は、胸腺特異的に発現する新規なプロテアソームのサブユニットを発見し、胸腺におけるT細胞の発達に必須の役割を果たしていることを明らかにした(Science, 2007, CurrOpinImmmunol2008)。引き続いて、胸腺プロテアソームの作用機構を解明するために、様々なTCRトランスジェニックマウスとの交配を行った結果、胸腺プロテアソームが作り出す特殊なペプチドがMHCクラスIにより提示されることにより正の選択を促していることを解明した(Immunity, 2010)。現在、胸腺プロテアソームにより作り出されるペプチドの特殊性を質量分析装置を用いて解析を行っており、正の選択を可能とするMHCクラスIに提示されるペプチドを同定中である。
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