CDK(cyclin-dependent kinase)は真核生物の細胞周期制御に中心的な働きを担っている蛋白質リン酸化酵素である。CDKの基質の同定は進められているが、未だ未解明なものが多い。 CDKの活性は細胞周期の様々なイベントを制御している。DNA複製もCDKの活性によって厳密に制御されているし、正確なDNA複製の進行は正常な細胞周期の進行に不可欠である。そこで安定なDNA複製に関わるユビキチンリガーゼ出芽酵母SCF^<Dia2>の機能解析を行った。その結果SCF^<Dia2>が複製フォークの構成成分であるMrc1およびCtf4と結合して複製フォークに局在すること、さらにSCF^<Dia2>が正常なフォークの進行に不可欠であることを見出し、報告した(Mimura et al. 2009 EMBO J.) また、出芽酵母Cul8はCullinの一種であり、Mms1およびMms22と複合体を形成してDNA複製中の傷害の修復に関与することが示唆されている。私はCul8結合蛋白質を探索し、Esc4、Esc2、Orc5、およびCtf4を同定した。さらにcul8欠失株はテロメアでの転写のサイレンシングに欠損があることも見いだした(Mimura et al. 2010)。 Dia2の基質タンパク質を同定するため、Dia2の機能に必須な領域を決定し、そこに結合する因子をツーハイブリッドスクリーニング法によって探索し、基質候補タンパク質として解析を行った。これらのうち細胞内でDia2欠失株でタンパク質の安定性が上昇するものは認められず、これらがDia2の基質であることを示す積極的な証拠は得られていない。細胞内の総タンパク質量ではなく、例えば複製フォーク上など局所的なタンパク質の量の変化を調べる必要があると感じている。
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