イネ栽培品種日本晴由来のブラシノステロイド非感受性変異体4系統について原因遺伝子の同定に成功した。そのうちの3系統は既知のブラシノステロイド受容体変異体d61のアリルであり、特にTos6696は別の栽培品種台中65号由来の変異体d61-1と全く同じ変異を有していた。圃場栽培試験の結果、Tos6696とd61-1は節間伸長パターンや粒形に顕著な違いが認められたことから、ブラシノステロイド受容体変異体の弱いアリルが示す形態変化の程度には、当該品種の遺伝的背景が強く影響すると考えられた。節間伸長パターンや粒形は農業上特に重要な形質であることから、ブラシノステロイドを育種的に応用するためには、本研究成果により存在が明らかとなった、形態変化の程度を決定する因子の同定が重要であるとの示唆が得られた。 新規のブラシノステロイド情報伝達因子として単離したユビキチン化酵素について、ユビキチン化に関わる機能ドメインと、標的タンパク質の認識部位を明らかにした。これらの知見を元に、同酵素が試験管内において他のユビキチン化に関わる因子と直接結合し、実際にユビキチン化活性を示すことを明らかにした。さらに酵母を用いたtwo-hybridスクリーニング法により、標的タンパク質の候補を得ることができた。標的候補タンパク質のドメイン解析を進めた結果、ユビキチン化酵素との結合に必須なドメインと、ユビキチン化酵素との結合を阻害するドメインが存在することを明らかにした。
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