研究課題
d2弱変異の効果を正確に検証するため圃場栽培試験を行った結果、d2弱変異は穂数、草丈、稈長を減少させたが、穂軸長、枝梗数、枝梗長を増加させたほか、1枝梗あたりの稔実種子数を増やし、株あたりの稔実種子数の増加に結びついた。d2弱変異体の稈強度の測定を行ったところ、d2弱変異は外長径、内長径が増加し、挫折時モーメントも著しく増加していた。一方曲げ応力は有意に変化していなかったことから、d2弱変異は稈を太くすることによって稈強度を高めていることが明らかとなった。既存の多収品種に共通したd2弱変異(V725M)が見つかり、同変異はそれらの品種に共通した交配親であるIR8にまで起源を遡ることができた。この結果から、d2弱変異がNew Plant Type型の多収性品種育成に利用されてきた可能性が考えられた。d2弱変異体の表現型を再現することを目的として、D2遺伝子のプロモーター制御下でBR不活性化酵素遺伝子を発現させた形質転換体のうち、草丈の減少が認められなかった2系統の後代について栽培試験を行った結果、穂軸長、枝梗数、枝梗長の増加傾向が認められ、その効果は穂数が減少した系統でより顕著であった。BR受容体遺伝子OsBRI1の発現がオーキシン処理により一過的に上昇する現象について解析を行った結果、OsBRI1のプロモーター領域にはオーキシン応答配列(AuxRE)が存在し、イネのオーキシン情報伝達因子OsARF24が同配列に結合すること、osarf24変異体ではOsBRI1の発現が低下していること、オーキシン処理によってBR応答性遺伝子BU1の発現が一過的に上昇することなどを明らかにした。オーキシン存在下ではBRの濃度依存的なBU1の発現誘導が100倍程度高まることから、オーキシン処理はBR受容体OsBRI1の発現量を増やすことによりBR感受性を高めていると考えられた。
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Plant Journal
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