研究概要 |
日本型イネ品種コシヒカリとインド型イネ品種ハバタキの雑種後代で、F_2以降の世代において分げつ数が少ない弱勢個体が出現することにより、雑種崩壊が発生する。この雑種崩壊について遺伝学的な解析を行ったところ、第2染色体に座乗するhybrid breakdown2(hbd2)という遺伝子がハバタキ型ホモ、第11染色体に座乗するhbd3という遺伝子がコシヒカリ型ホモとなった個体が弱勢表現型を示すことが明らかとなった。さらにhbd2およびhbd3それぞれについて準同質遺伝子系統(NIL)を作成することで、今回発見された雑種崩壊がこの2遺伝子のみによって生じることを証明した(Yamamoto, et. al.2007,Theor. Appl. Genet.)。 さらに、hbd2について分離集団約12,000個体を用いてポジショナルクローニングを行った結果、hbd2候補領域を約18kbpに絞り込むことに成功した。この領域内には1つの遺伝子が座乗しており、その遺伝子はCasein Kinase Iをコードしていた。さらに、この領域についてコシヒカリーハバタキ間のゲノム配列を比較したところ、このCasein kinase Iのプロモーター領域の配列が2種間で大きく異なっていること、またORF内に1アミノ酸置換を引き起こすような変異(図4)が存在することが認められた。 同様にhbd3についても、分離集団約6,000個体を用いてポジショナルクローニングを行った結果、候補領域を約40kbpに絞り込むことができた。
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