メロンは一般にはエチレンによって成熟が誘導されるクライマクテリック型果実に分類される。しかし、実際には様々な成熟様相を示す品種が属しており、成熟の遺伝的プログラムは非常に多様であると言える。代表者はこれまでにメロ品種‘ハネデュ'は、エチレンは感受できるが合成できない変異が起きており、それはEIN3より下流のエチレン信号伝達系の一部に変異があるためであると言うことを明らかにしてきた。前年度は、‘ハネデュ'で発現に変化が見られる同定した。本年度は、形質転換など逆遺伝学的アプローチがトマトにおいてホモログの探索をおこなった。 6つの転写制御因子についてトマトのSOLデータベースとアラビドプシスのTAIRデータベースから相同性を示す遺伝子/unigeneを単離した。それらを元に系統樹解析を行い、同じクラスターを形成する遺伝子(ホモログ)の有無を検証した。その結果、DREB2A転写制御因子をのぞく5つの転写制御因子についてホモログが得られた。それらについて、果実成熟過程における発現パターンを解析したところ、多くの遺伝子がメロン転写制御因子の場合とは異なる発現パターンとなっていた。そのため、今回得られたトマト転写制御因子ホモログはメロン転写制御因子とは単純なオーソログの関係にあるとは思われなかった。しかし、NACとHD-ZIPの2つのトマト転写制御因子ホモログについては、トマト成熟不全変異体で発現が変化しており、成熟に何らかの形で関与しているものと考えられた。現在、これら転写制御因子についてIirus-Induced Gene Silencing法やアグロバクテリウムによる形質転換を試みているところである。
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