バキュロウイルスがコードする宿主ホモログに関して、今年度は以下の成果を得ることができた。 1. 最新のカイコゲノム情報を用いて、カイコに感染するバキュロウイルスであるカイコ核多角体病ウイルスの遺伝子産物と相同性のあるカイコ遺伝子を探索し、宿主ホモログによる宿主制御機構の一端を明らかにした。 2. バキュロウイルスが持つ宿主ホモログの一つ繊維芽細胞成長因子(FGF)の昆虫個体における役割をGFP発現ウイルスを利用して解析した。その結果、FGFは血球細胞の走化性を利用した感染増強に関わっていることは判明した。 3. 宿主ホモログの一つカテプシンのプロセシングが、pre-pro部位に付加する糖鎖依存敵であることを明らかにした。 4. カテプシンの発現調節に関わる遺伝子としてfp25Kを同定した。 5. 宿主ホモログの一つSNF2(Bm33)が、培養細胞においては機能を持たないが、宿主昆虫感染時には、病原因子として働くタンパク質であることを明らかにした。
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