Pseudomonas chlororaphis B23(以下、B23菌と略)のニトリル合成・分解・利用系に関わるプロモーター・酵素・機能性タンパク質の中で、(他に関しては継続して研究を進めているが)現在、ニトリル代謝に関与する遺伝子クラスターの調節タンパク質に関して得られている成果について以下に記載する。 本菌は、様々なニトリルをNitrile hydratase (NHase)とAmidaseにより酸とアンモニアに分解する。両酵素は、ニトリルを合成する酵素Aldoxime dehydratase (OxdA)などのニトリル代謝関連酵素群とともに遺伝子クラスターを構成している。本クラスター上流に存在するORF (nhpR)は他の転写調節タンパク質と相同性を示すことから、NhpRについて詳細な解析を行った。 カナマイシンの耐性遺伝子を利用してnhpR欠失変異株を作製した。B23菌はメタクリルアミドを単一窒素源としても生育できるが、本欠失変異株は同条件で生育できないため、nhpRがメタクリルアミドを窒素源として資化するに必要な酵素で構成されている本遺伝子クラスターの発現を制御すると示唆された。さらに、NhpRによる発現調節をより直接的に示すため、本遺伝子クラスターに存在するOxdAとNHaseの活性を調べた結果、B23菌ではメアクリルアミド誘導下で両酵素活性が確認できなかった。さらに、リアルタイムPCRによって、B23菌では誘導剤存在下で本クラスター遺伝子の転写が促進されるのに対し、本欠失変異株では同条件下で転写は促進されないことが判明した。以上より、NhpRが本クラスターの転写調節を行っていると考えられた。
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