木材・木質材料の高機能化を可能とする超音波付加含浸・圧密技術の開発を目指し、液体注入に際して超音波振動の効果と熱分析に手法による木材の微細構造変化についての基礎的な検討を行った。その結果、水を注入する場合は、超音波振動の効果がある樹種と悪影響を及ぼす樹種があることがわかった。また、効果がある場合においては、その注入量の増加は最大で10%程度であった。細胞壁内への拡散を判断するためには、液体の凝固点降下が有効な手段の一つである可能性が見出せた。また、微細構造変化を検討するにあたり、温度変調型熱量測定により得られる動的熱容量の温度変化を把握することは、粘弾性挙動などと同様に有効な手段であることがわかった。これらの基礎的検討を踏まえると、良好な製品を創出するための薬液注入や圧密などの処理条件の導出が今後期待される。
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