水産資源を支える餌生物として、また、水環境の状態をあらわす重要な指標として、顕微鏡観察による長期的なプランクトンモニタリングがなされてきた。しかし、プランクトン種の中には、生活史におけるステージ、生理条件、雌雄の違いによって形態が大きく変化する種や、或いは、まったく別の分類群に属する酷似種が同水塊中に生息するため、これまでのモニタリングで一般的に用いられてきた光学顕微鏡観察では、十分な経験を有する技術者でも同一種かどうかの識別すら困難である場合や、種レベルでの同定が不可能な場合も多く、分析精度が一定しないという問題は未だ解決されてない。 そこで、本研究では、琵琶湖をケーススタディーとして湖沼のプランクトンの遺伝子情報に基づく迅速かつ正確で客観的な分類ならびに定量化手法を開発し、モニタリングに適用することを目的としている。 平成19年度に琵琶湖のプランクトン133株の真核生物(18S)原核生物(16S)の塩基配列を解読し、データベースの構築を行ったので、平成20年度は、これらのデータを活用し、琵琶湖において頻繁に出現する植物プランクトン種17種についてのアライメントから特異的かつ定量的に検出できるリアルタイムPCR (SYBR Green)用のプライマー設計を行った。 また、琵琶湖から採水した湖水中に含まれるプランクトンのDNAを抽出し、これらのプライマーを用いた検出試験を行い、モニタリングに利用できることを確認した。
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