研究概要 |
3年目までに、免疫担当細胞指向性を示すマンノース修飾バブルリポソーム/pDNA複合体(Man-PEG-BL)を用いた超音波照射による高効率な細胞選択的遺伝子導入法の構築に成功した。さらに、Man-PEG-BLと超音波照射による高効率な細胞選択的遺伝子発現に及ぼす支配機構として、リガンド認識により標的細胞に集積したMan-PEG-BLへの超音波照射による細胞内への高効率な移行と超音波照射に基づく細胞の転写因子活性化が関与していることを明らかにした。そこで最終年度である本年度は、Man-PEG-BLと超音波照射による高効率な細胞選択的遺伝子導入法の癌抗原に対するDNAワクチン効果を評価することを目的に、メラノーマ関連抗原であるgp-100,TRP2を発現するpDNA(pUb-M)を用いて、メラノーマ細胞に対するDNAワクチン効果の評価を用いて行った。B16BL6細胞と対照細胞であるEL4,colon-26細胞におけるgp-100とTRP2の発現を定量的PCRで測定し、B16BL6特異的な発現を確認した。Man-PEG-BLと超音波照射によるマウスへの遺伝子導入法では、未修飾バブルリポプレックス(PEG-BL)と超音波照射の組み合わせに比べ有意に高い脾臓でのCD11C+細胞でのgp-100とTRP2のmRNA発現が認められた。また、Man-PEG-BLと超音波照射による免疫誘導を行ったマウスでは、B16BL6細胞への特異的な細胞障害性T細胞誘導効果が認められ、このマウスの皮下あるいは静脈内にB16BL6細胞を投与した固形癌あるいは肺転移モデルにおいて、共に癌細胞増殖の有意な抑制効果ならびに延命効果が認められた。以上、Man-PEG-BLと超音波照射による高効率な細胞選択的遺伝子導入法によるDNAワクチンは、メラノーマに対する有効が癌増殖・転移抑制法となる可能性が示された。
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