研究課題
本研究の目的は精子幹細胞の自己複製シグナルを解明することにある。本年度の研究では第一に、精子幹細胞とテロメア調節との関連を調べるため、精子幹細胞培養株(Germline Stem : GS細胞)にtelomeraseをレトロウイルスベクターにより導入し、強制発現細胞を作出した。現在この細胞における増殖速度、サイトカインの増殖必要性、テロメア長などについて解析中である。第二に、GS細胞を用いて2007年にAkt/PI3Kを介するシグナル経路が自己複製因子GDNF(Glial cell-line derived neurotrophic factor)からの刺激を伝達していることを明らかにしたが、Akt/PI3K以外のシグナル経路の関与も示唆されていた。そこで本年度の研究ではGS細胞ヘレンチウイルスによる発現ベクターを導入し、他の自己複製シグナル分子のスクリーニングを行った。Rasのdominant negative体をGS細胞に導入したところ、GS細胞の自己複製増殖は著しく阻害された。またRasの強制発現によりGS細胞はGDNF非依存性に長期にわたって増殖することが分かった。4ヶ月以上培養した細胞は野生型GS細胞と同様精子幹細胞マーカーの発現を維持し、精巣内に移植すると精子形成像が見られたことから、精子幹細胞としての活性を維持していることが示唆された。さらに、移植後の精巣においては精子形成像の他に、一部でseminomaの形成が認められた。これらのことから、Ras分子がAktと同様に精子幹細胞の自己複製制御に関わっていること、しかしAktのoverexpressionの場合とは異なり、Rasには精子幹細胞の腫瘍化を促す作用があることが明らかになった。この成果は現在論文投稿中である。
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