研究課題
マルチプルスライスCTで測定した内臓脂肪体積と大腸腺腫との間に、男女ともに量反応的な正の関連がみられた。内臓脂肪体積が最も小さい群の大腸腺腫を発症するオッズ比を1として基準とすると2番目、3番目、4番目に大きい群の調整オッズ比は男性においてそれぞれ1.3、1.1、及び2.0であった(トレンドp=0.002)。女性においてはそれぞれ1.9、1.7、及び2.6であった(トレンドp=0.01)。なお、体脂肪率を反映するBMIで層別化しても、内臓脂肪が蓄積している人でリスクが上昇する傾向が見られた。今回の結果から、内臓脂肪蓄積が大腸腺腫の発生に重要な役割を果たしているということだけが示された。また、BMIによる層別化解析の結果から、肥満と大腸腺腫リスクを考えるとき、BMIだけでなく内臓脂肪蓄積を考慮することが重要であると考えられた。インスリン関連マーカーやアディポネクチンといった内臓脂肪蓄積と関連するバイオマーカーを測定した結果も、男性においては内臓脂肪蓄積の重要性を更に支持するものであった。男性において、C-peptide及びIGF-Iと大腸腺腫との間に正の関連が見られた一方、IGFBP-1との間には負の関連が見られた。女性においては、いずれも関連が見られなかった。また、男性において、総アディポネクチン及び高分子アディポネクチンと大腸腺腫との間に負の関連が見られたが、女性においては、いずれも関連が見られなかった。本研究で見られたインスリン関連マーカーやアディポネクチンと大腸腺腫との関連は、これまで示唆されてきたメカニズムと一致するものであり、男性においては内臓脂肪蓄積の重要性を更に支持する結果であったと考えられる。
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Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 18
ページ: 267-274
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http://www.ncc.go.jp/jp/kenshin/divisions/03prev/03prev05.html